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情報誌Sチャンでは、さまざまな講座を行う市民講師たちを紹介しているが、実際に彼らの講座を体験していない人には、ピンとこないものかもしれない。何が学べるの?なぜ学校で先生以外の人が教壇に立つの?そこで、実際に市民講師による講座を開催している学校の土曜講座をのぞいてみよう。

どんなシステムで運営され、誰が講師となっているのだろう。ワクワクの雰囲気も感じてほしい。

興味のあるコースを選び、
年7回で総合的に学ぶ

愛知中学で土曜講座は昨年はじめて開催され、今年が2年目。

年間7回「土曜講座」(90分) が行われ、中学1・2年生全員が市民講師たちの講座を受講する。生徒たちは最初に各4つの中から関心のあるコースを選択。年間を通じて、同じコースで様々な講師から、幅広く学べるシステムになっている。


一年生選択コース
●国際理解「地球の歩き方」(他国・他文化への理解を深める)
●環境 I(身近な問題から、環境を考える)
●いのち・健康(命の尊さや健康の大切さを知る)
●科学(科学の面白さや不思議さを体験)

二年生選択コース
●ディベート(最近話題のディベートを体験)
●環境 II(世界共通の課題、環境を考える)
●コミュニケーション(体験学習を通し、自分自身と人との関わりについて学ぶ)
●仕事(仕事のなりたちを知る)

出会いがいっぱい!
市民講師が授業を作る

今日はどんな市民講師が来るのか?それは生徒たちのお楽しみのひとつ。たとえば今年の「科学」のコースを見てみると…。初回は、他高校の理科教諭。理科クラブで行っているオモシロ実験をいろいろと体験させてくれた。

2回目は、技術者であり発明家である会社社長。バクテリアや体内の血液の話をしてくれた。3回目は初めての校外学習。「新・人体の不思議展」の見学では、医学系予備校の先生などが引率について解説。4回目は、高校教諭とNPO団体の協力によるパソコン解体講座。もちろん他のコースも同じである。(一部、年間を通して全く同じ講師が担当しているコースもあります)

昨年から通して振り返ってみると教壇に立った人は、大学生、起業家、サラリーマン、主婦、市民活動家、テレビディレクター、大学教授、他校の先生、助産婦、中国医師、留学生…。

土曜講座は、さまざまな生き方との出会いの場でもあるのだ。

NPOのコーディネートに
マスコミも注目

こうして8コースが各7回、年間を通し合計56講座が愛知中学で行われることとなる。市民講師1人1人を探すワケにはいかない。

そこで愛知中学は「特定非営利活動法人愛知市民教育ネット(NPO法人アスクネット)」に、各コースの運営から講師選定までを依頼。アスクネットでは、各コースに1人ずつ「コースコーディネート」を依頼し、コーディネーターが学校と市民講師とのパイプ役になっている。

年間を通して学校内の土曜講座をNPO法人がコーディネートをするのは、全国的にも珍しい試み。昨年から、新聞・テレビなどの取材が相次いでいる。また全国からの視察なども行われ、新しい学びのあり方として注目されていることは間違いなさそう。

これからも新しい市民講座のあり方の模索が続く。将来、生徒たちに「あの時の講座がきっかけで道を選んだ」と言われるようになることが目標である。

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